※無限世界とウロンダリアの位置関係ついて
広大な無限世界の中にウロンダリアがぽつりと存在しており、ウロンダリアだけは比較的容易に無限世界を観測しやすい条件がある。これは『巨神の裂け目』と呼ばれる世界の亀裂がウロンダリアには非常に多く、他世界の観測や他世界への移動が比較的容易なため。同時に、他世界からウロンダリアに何らかの理由で渡って来る者たちもしばしば存在している。
※第三章の後日譚『月の神都イシュクラダル、ミゼステとオーランド』では、この『巨神の裂け目』の様子が出てくる。
永遠の地ウロンダリアとは?
本編の主な舞台で、その名は異界から渡って来た古代の覇王ウロンダリウスが名付けたとされている。ウロンダリアを取り巻く無限世界からは『永遠の地』『間の投錨の地』と呼ばれることが多く、人や神々、広大な地域までが漂着するという変わった特徴を持つ。
聖王国エルナシーサを中心とし、天空の大陸を含めたその周囲のしばしば『高き地』とも呼ばれる古ウロンダリアは『八つの古王国』とその周辺国、広大な『魔の国キルシェイド』からなり、この他に後の時代に漂着した南方、南西、西方の各『新王国』などからなる。地図の安定しない『識外の地』、容易には戻ってこれないとされる『不帰の地』なども。
海と空もその大部分は人の領域ではなく、全域の地図は現在も不明。そして、『混沌戦争』以降は時の流れさえ一定ではない。
識外の地、不帰の地
ウロンダリアの未踏地であり、全く情報が入っていない地域の事。このような地域で度々探索を行っても、未知の脅威でしばしば探索者たちが消息を絶つのが『不帰の地』と呼ばれている。『不帰の地』は何らかの危険が存在することは把握されている地域とも言える。
聖王国と魔の国
聖王国エルナシーサ
ウロンダリアの中心であり、空中に浮かんで巨大な鎖で大地に繋ぎ止められている陸地に存在している。
ウロンダリアの社会構造の中心であり『法の書』、『船の民の予言書』、『戦士の安寧の黒石』が安置、保管され、これに唯一触れられる『神聖乙女』を至高の司祭とする小さな国。ウロンダリアの法の基準はここに存在する。
しかし、国は小さくても神の候補生たる『天の人』で構成された『神罰騎士団』や数名の名だたる『古竜騎士』など他種多数の戦力が存在しており、ウロンダリア全体の規模から見ても異様なほどに強大な戦力を保持している。
魔の国キルシェイド
覇王の時代の少し後に漂着した、多種多様な上位魔族ニルティスたちの国。広大にして国境は曖昧なので上位魔族たちは『魔の領域』『魔の国』などと呼んでいるが、人間たちは遠巻きにして緩衝地域から『魔の国』としている。
この地の膨大な魔力は天空の大陸で眠り続ける古代に大暴れした古龍『六本指のキルシェダール』によるものとされ、キルシェダールの名にちなんで人々はこの地を『キルシェイド』と呼んでいる。
キルシェダールの名前は龍言語で『影を慕う者』という意味になるとされており、そのまま解釈するなら『影慕う地』というなかなかに意味深な地名となる。
現在の王は三代目の上魔王シェーングロード。首都は『黒曜石の都』オブスグンド。
面積は古王国の人間の版図全てより広いとされており、特産品は火薬や上位黒曜石、そして裁判など。
黒曜石の都オブスグンド
魔の国キルシェイドの首都。大城門から魔王城オブスガルまでは『男の足で丸一日かかる』と言われる距離で非常に巨大。上位黒曜石による巨大な傾斜城壁によって囲まれた都で、かつての『混沌戦争』に備えて建造された乱世の都。上下水道完備で行商人も多く、多種多様な種族の人々が暮らしている。
異界の様々な商人たちが訪れる危険な『驚愕の市場』と呼ばれる区画があり、この市場を探索するための専門の探索・研究ギルドが存在するほど。
西の櫓
黒曜石の都オブスグンドの大城壁西の櫓。政治的な理由で眠り人であるルインはここに安置され、目覚めて後はここを拠点としているが、一つの櫓だけで強大な混沌の勢力相手に十年は籠城戦が出来るほどに堅牢かつ巨大であり、美術的な様式も優れている。
黒曜石の床や壁内を青白い魔力の光がしばしば糸のように流れたり、各人の魔力が反射して独特な色を映したりと不思議な雰囲気がある。
上位魔族の趣味で精巧な彫刻や複雑で美しい建築様式が随所に見られ、本来は兵士用に作られたと思われる大浴場でさえ、ウロンダリアの平均的な人間の貴族たちの大浴場よりも仕様が上。
人間から見たら文化や技術、規模の面で驚愕の水準に達しているが、建造物にこだわる上位魔族がここに特に名前を付けないのは、この都があくまでも乱世の都であり、その櫓も文化や美意識の面で『ただの櫓に過ぎないから』という意味合いがある。
八つの古王国
八つの古王国とは?
ウロンダリアに古くから存在する古王国のうち、聖王国を取り巻く特に強大な八つの大国の事。
東から時計回りに、バルドスタ戦教国、翼の国レーンフォリア (天空の大陸)、ガシュタラ万藩王国、シスラ共和国、大プロマキス帝国、黒き国オーン、神聖エンデール帝国、魔導帝国エスタ (天空の大陸)という位置関係である。
バルドスタ戦教国
『八つの古王国』の一つ。学者たちの解釈する正式な名称は『大バルドスタ先戦教化主義神授王権王国』。『国の色』は深紅。主神は『美しき大鷲』戦女神ヘルセス。首都はオルリス。ウロンダリアの東方の守りのかなめであり、隣接する『雨の海』が異界と化して、しばしば異民族の侵入を受けることがあり、何度か滅亡の危機に瀕しながらもウロンダリアを守ってきた大国。第二章は主にこの国が舞台となった。
常に戦いがある事を意識しての国家運営と教育がなされており、武人気質はとても重要視されている。そして、その気質と能力によって人を評価する文化が完全に根付いているため、ある意味で門戸が広く公平な国でもある。
新王国においては強力な私掠傭兵団を保有・保護しており、秩序の一端を担っている。
特産品は鉄血馬や、他国用の家畜の飼料となる草や農産品、金属、石材及びその加工技術など。
※第二章においてこの国の人々と神々は、異なる世界からの避難民であった事が判明する。そのもとの世界の名は『バルド』であったと判明する。また『バルド』とは『戦詩』という意味になるらしい。
大プロマキス帝国
『八つの古王国』の一つ、西の大国。ウロンダリアで聖王国に次いで最も古い国家とされており、古代の覇王ウロンダリウスが建国したとされる大国。
プロマキスという言葉は『契約』『約束』を意味しているとされ、そのまま解釈するならこの国名は『約束の地』とでもなるだろうか。首都は覇王の大霊廟のあるウロンダルであり『古王国連合』の本部もここにある。
プロマキス人は本来黒い髪に黄色い瞳の人々が多かったが、現在は混血が進んで珍しくなっている。
特産品はぶどう酒と魚醤、蜂蜜、製本技術及び書籍など。
神聖エンデール帝国
『八つの古王国』の一つ、ウロンダリア北方の大国。騎馬民族の大兵団でウロンダリアに渡ってきた民だとされ、『草原より来たりて、草原に帰る』という言葉が民族性や気風を良く表している。
騎馬民族であるエンデールの民たちは移動と戦いの歴史だったが、それがむしろ文化の価値を実感させることとなり、結果として様々な文化に対しての自由度が最も高く、礼法の大家や詩人などの文化人を多く輩出する国となった。『魔の国一の淑女』ティアーリアとも縁が深い。
特産品はガラス、磁器、エンデールの綿と絹、氷に保存した酒や野菜に果物と、各種の馬、そして弓。
ガシュタラ万藩王国
『八つの古王国』の一つであり、しばしば『南の大国』とも呼ばれる。大小さまざまな『藩王国』と呼ばれる小国を『万王の王』と呼ばれる王が一つの国家に束ねる形をとっており、法律さえも藩王国ごとに微妙に異なる。
国土全体は多数の肥沃な沼地と島のような小高い地形が点在する平地で、長い海岸線を持ち、農産物などは各藩王国で腕を競うように質の高いものを作っており、それらは極めて人気が高く高価で取引されている。
現在の『万王の王』はマーハダル大王。
ガシュタラの神々は水や農業などに関連する権能が多く、嵐を司るアダド、水と慈悲の女神シェアリス、その妹の豊穣の女神シュリラなどはウロンダリア全域でも比較的人気が高い。
特産品はガシュタラ絹、紅茶、香辛料、様々な果物と果実酒、果実シロップ、薔薇と香料など。
※『ガシュト最後の日』のエピソードで、ガシュタラの人々はこのガシュトの地と人々、神々を丸ごと引っ張ってきた地域らしいことが判明する。
※『ソダの牛祭り』において、『ガシュト』とは『さざれ石』という意味らしいことが判明する。
ウロンダリアの天体ほか
レダの月
ウロンダリアの夜空に浮かぶ二つの月の大きなほう。かなり大きく見える日もある。暗い部分には都市の夜景のような光が広範囲に見え、昔からそこには月の民が住まうと言い伝えられている。この光が特に集中している場所は幾つかの大都市であるという伝説もあり、特に大きなものは『月のイシュクラダル』という都であるとされている。
※第三章幕間『月を呼ぶ』にて、イシュクラダルが実在している事が判明する。
月の神都イシュクラダル
レダの月最大の都で、月の民の技術によって建造された神々の都の一つ。三章幕間において、かつてのウル・インテスの女神ミゼステが暮らしている様子が描かれている。
イシュクラダルという名称は『イシュクラダの』という意味となり、これは無限世界でも有名な『月と陰謀の女神』イシュクラダに関係があると言い伝えられている。
レダス
レダの月の内面に存在する世界。月面に等しく広大であり、三章幕間において登場した。内面世界を連結する無数の機械仕掛けの塔または柱と、広がる森林、そして地上を程よく照らす光球の内側は神々の星船の港になっていると判明する。
ルンネの月(ルネの月という呼び方もある)
ウロンダリアの夜空に浮かぶ月の小さな方。小さめで暗く、『魔女の月』などとも呼ばれている。この月が浮かんでいる時は様々な効果がウロンダリアにもたらされていると古来から言い伝えられているが、その効果の全ては研究途中であり網羅されきっていない。
夜空にこの月が浮かんでいる時は女性特有の諸症状が大幅に緩和されたり、妖精の姿を見やすくなったり、変身能力が高くなるなどとされている。
モノリス (不滅の堅座ヴァジル・アマラ)
ウロンダリアの夜空に現れる、鈍色に輝く巨大な直方体の天体。この名前は『船の民』が伝えたものだとされ、このモノリスも船の民に関わりがあると伝えられている。
※第三章の幕間において、これがウロンダリアの神々が何らかの用途に用いている『不滅の堅座』ヴァジル・アマラと呼ばれる大型構造物であることが判明する。ウロンダリアの人々が見ているのはこれの底面で、上面には大きな背びれのような滑らかな突起と、数多くの開口部があり、城塞か巨大な星船の一部を切り取ったような外見をしている。
赤い月シン
古代から不定期にウロンダリアの空に現れる小さな赤い月。この月は古代から多くの魔物が住むとされ、しばしば『月の落涙』という大災厄を起こしたり、異形の月の魔物を地上に落すとされてきた。
その他のウロンダリアの地域
工人の都市国家ピステ
『五大工人都市』の一つ。古代から続く工人たちの都市国家の中でも、もっとも古く大きな都市国家で、ピステは銃及び火砲の技術が非常に優れている。
地下には『銃神の渚』と呼ばれる秘められた場所があり、異界からの様々なものが流れ着くと伝わる。
多くの坑道や工房があり、また、ピステの存在する地域は独特な青い砂質土の地層が広範囲に分布しているため、この砂を混ぜ込んで焼いた青い煉瓦は建材としてしばしば人気がある。
吸血鬼の都アンシルヴァル
ウロンダリアの各所にその入り口が隠されているという吸血鬼の都。『深紅の紛争』で『追われし魔族』の吸血鬼派閥に敗れた『古き魔族』の吸血鬼たちの都。
この都から古の吸血鬼の大王、ヴァルキルド王の城、オーンシェヌの古城に行く事が出来る。
※エピソード『吸血鬼の都アンシルヴァル』にて登場。
学園都市アンダルヴィル
大プロマキス帝国北方にある古く巨大な学園都市。しかし現在は何年か前に起きた退魔教会の不祥事『月の落涙事件』により、古王国連合及び異端審問会により原則として研究者以外は立ち入り禁止になっている。
北のアンスリノラ
神聖エンデール帝国北方の隠れ里。かなり昔にエンデールの王族が『黒い眠り女』を隠したとされる山間の集落。かつては『バハル山脈の大隧道』を経由して至れたが、現在大隧道は閉ざされており、また転移門もない。
※古い地名の補足
古王国の地名でアン (An)が頭についているものは『古き』という冠詞の役割と意味があり、八百年ほど前の『混沌戦争』より古く由緒のある地名には、しばしばこれがついているものがある。
転じて、作中のウロンダリアで『アン~』という地名が現れたら、大抵それは古い歴史のある地名と読み解ける。
新王国の国々
新王国とは?
後の時代に流れ着いたとされる広大な地域で、現在は多くの国が現れては消えて群雄割拠しており、中には半日で消えた国もあるらしい。
人が目を離すとすぐに異界が漂着する地も多く、冒険心溢れる者たちにとってはフロンティアである。
南方、南西、西方の各地域が存在する。
モーダス共和国
南方新王国で勢力を伸ばしつつある、クロム人と呼ばれる人種の国。『全公民制』という、国民すべてが国家の役人の側面を持つ国家とされており、国民の階級は『公民』と『非公民』という二つの階層に分けられている。しかしここしばらく人身売買や強制労働などの黒いうわさが絶えず、『非公民』は事実上の劣等国民扱いされているという指摘もある。
二つの世界樹の都
二つの世界樹の都、テア・ユグラ・リーア (Tiya Yugla Ria)
光の側の古き民の言語におけるその意味は『二つの世界樹の都』を意味し、伝説にのみ登場するウロンダリアの『失われた七都』の一つ。伝承では巨大な二つの世界樹と、その間に幾つかの城塞都市が存在する美しい都だとされている。
※第三章において、この伝説の美しい都はウロンダリアに現れる。
高き渡り枝の街、ル・ラーナ・シ・リーア(Le Larna Shi Ria)
光の側の古き民の言語におけるその意味は『高き渡り枝の街』。『二つの世界樹の都テア・ユグラ・リーア』の最上層の都市で、双子の世界樹が互いに枝を伸ばして結びついた、広い回廊のようになった地形に存在する街。
『月の落涙』を迎え撃つために頑丈な穹窿天井の要塞を中心とし、この要塞に至る通路も全てアーチ形の天井と二段構造の通路で組まれている。その建材は光を透過する化石化した世界樹。
第三章の過去のウル・インテスでは、ウロンダリアの戦士たちの拠点がここになった。
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