珍しい古代の遺跡や辰砂の採れる場所では出会う可能性が高く、また、人の住む街ではまれに彼らの大きな収蔵庫兼屋敷があり、あるいは街道や市場で出くわす事もある種族。彼らは『岩と大樹の時代』の後、『土が生まれた頃』に起源をもつ女神、赤き土の女王ニサが知的な好奇心を満たすために土をこねて創り出した種族とされている。まだ『時』の概念がなかった世界の神であるニサは、人からしたら遠い過去に該当する時代の神であるにもかかわらず、『混沌』の影響によって時がしばしばあいまいになったウロンダリアに、自分の趣味を反映させた何種類かの造形のバニプたちを送り、その知的な好奇心と創造性を満たしているとされている。このうち岩肌のバニプ、山羊顔のバニプ、仮面のバニプの三種類がウロンダリアには多く、山羊顔のバニプは木を好んで食して人間に最も友好的であるとされている。
彼らは赤き女王ニサをたたえる柄の赤い辰砂と黄金で飾った衣服を着て、姿隠しの香をいつも焚いており、遠くからはあまりその姿が見えない。病気にならない不死の身体と高く正確な跳躍力を持つ足に、ハンマーのような重い蹄にも器用な四本指にもなる不思議な手を持ち、古い時代の魔法を理解し、また大抵は何かの重度の収集家でもある。
そして彼らは人間など他種族の事を多くの場合『哀れなラナブ・ナラク(言葉を操る愚か者)』と呼ぶ。この呼び方は下に見ているというよりは『可哀想な者たち』という意味で言っているが、他の種族にはしばしば見下しているように受け取られてしまう事も多い。
彼らは有形・無形様々なものを収集しており、それは道具や宝飾品から、各種族や個人の性格や傾向、文化などまで多岐にわたる。結果的に、この趣味を楽しむには通貨や貴重なものを得て交易するのが最も有効だと学んだバニプたちは、多くの場合は希少な品を扱う商人でもある。しかし、収集癖の無い者とはあまり取引したがらない為、ウロンダリアでは何らかの収集癖のある人はバニプたちと取引できる窓口としてしばしば重要視される人材となる。
バニプたちはその母体である赤き土の女王ニサの祝福により、匂いを嗅いだだけで土に含まれる成分が分かり、また魔法的に利用する能力が備わっており、周囲の土を生き物のように自在に操る能力に長けている。また、五大精霊力では大地の力と最も関りが深く、地に関わる精霊の魔術ではとても有能な精霊術の使い手ともなる。
悠久の時を生きつつも様々な面白い品物を作り出す人間や古き民たちについてその命の短さや価値観を哀れんではいるが認めてもおり、『人なる神の時代』においては人間にとって比較的良い友人である種族と言う事が出来る。
※この項は加筆予定です。
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