バルコダの首なし騎士と、ある勇壮な無名の女について・前編
騎馬民族を祖とする神聖エンデール帝国の属国の一つ、山間の小国サドニの北方、山と森深きバルコダ地方の豪族は、古くから人ならざる吸血鬼たちであった。遠い昔は欲深い人間の豪族が人々に重い税を課していたが、ある時いずこからか訪れた吸血鬼の貴族たちに取って代わられ行方知れずとなり、しかし人々はその真相を知ろうとはしなかったという。
吸血鬼の豪族とその一族は、そう豊かではないこの地域の人々から重い税を取る事は廃止し、代わりに乙女と童の血を少しずつ求めたという。人々は当初困惑したが、しかしそれ以上の危害は無く、税も以前よりだいぶ軽くなった事はむしろ歓迎され、また吸血鬼の豪族は親しみやすい語り部や楽士、教師を村々に遣わしたため、人々と吸血鬼の豪族の関係はむしろ良好でさえあった。こうして、短くはない時が流れた。
ある時、吸血鬼の豪族たちは大きな争いに参加するとしてバルコダの人々に別れを告げ、それから幼子が父親になるほどの年月が流れた。
ある嵐の夜、長いこと誰もいなかったバルコダの豪族の城に赤い雷が落ち、城に妖しい灯火が灯った。人々は吸血鬼の豪族の帰還を喜んだが、その夜に家々を回った吸血鬼たちはバルコダの人々に多くの血を求めた。しかし、それよりも人々を驚かせたのは吸血鬼の豪族がおそらく敗れて落ち延びてきた事だった。彼らは人の姿を保てず化け物になっている者、手足や顔の一部の無くなるような大怪我をしている者などばかりで、かつての気品漂う人の姿をしている者は一人もおらず、人々はどれほどに恐ろしい戦いだったのかと震えた。
吸血鬼たちによれば、特に彼らの当主が抜けぬ荊の剣を心臓に刺され、常に大量の血の飢えに苛まれるようになり、これを満たさねば当主は恐ろしい化け物になってしまうのだという。
過去の恩を忘れなかったバルコダの人々はなるべく吸血鬼の豪族の求めに応じる事にした。
しかし血は到底足りなかった。それから破綻まではあっという間だった。吸血鬼たちの求める血は到底足りず、やがて吸血鬼たちは騎士のように武装しては夜の馬に乗って村々を駆け、家の扉を斧で壊しては無差別に人々の血を吸ってうち捨てる、そんな夜が続くなか、吸血鬼の騎士たちも一族も一人ずつ減っていった。
一年ほど続いた恐怖の夜々の末に、遂に夜中に人々の家の戸を叩くものはいなくなった。人々はしばらくぶりの静かな夜に安堵したが、しかしバルコダの豪族の城の妖しい灯火は消えていなかった。
そして数日の静寂の夜は、恐ろしい絶叫によって破られた。
──血を、血を! この呪わしい荊の血の剣よ! 私から何もかも奪ってなお、私を苦しめ続けるというのか!
この夜、人々は吸血鬼の豪族の当主の恐ろしい姿を見た。亡霊のような夜の馬を駆り、魚の鱗のような黄金の鎧に、闇のようなマント。気高い細面のその顔はしかし、目が血のように赤く暗く燃え、叫ぶたびに開く口の歯は全てが鑢で研がれたように鋭かった。しかし何より恐ろしいのは、この当主の心臓のあたりから背中までを赤い荊の絡んだ美しい大剣が貫いていた事だった。この大剣もまた人々の心に恐怖を呼び起こす血のような暗い輝きに満ち、この大剣から滴る血はバルコダの道々に恐ろしい血の跡を残し続けた。
人々は家の窓をふさぎ、扉を頑丈にし、あるいはこの地を離れようとした。しかし、安全な城塞や転移の門のある場所までは遠く、逃避の旅で訪れた夜は彼らを無防備にして吸血鬼の当主に血を吸われるだけとなった。こうして、活力を失った人々は家の中で怯えたまま寝込み、畑も森も荒れ始めた。
吸血鬼の当主が現れるようになってから二つの季節が過ぎた夏の頃、この地のとある村に珍しい来訪者が現れた。夏物の粗末なドレスに剣や斧を身に着け、少し大きな荷物を背負った女だった。女は赤みがかった癖のある長い髪に整った顔立ちをし、戦士もできそうな体格と隙の無い雰囲気をしていたが、意外に砕けた物言いをし、その装いは長い旅で少し薄汚れていた。
村の人々はそれでも、この女が夜になればあの恐ろしい吸血鬼の当主の餌食になる事を恐れて身を隠す事を勧めた。しかし女は笑って荷物から大きな酒の瓶を取り出すと、人々の困惑をよそにこれを勢いよく呑みつつ皆にも分け与え、やがて堂々とした美しい声で酒の神バルボの『憂さ晴らしの呑み歌』を謡い始めては、この陽気な歌を謡いつつ家々の扉の前と街道から村に分岐する道に酒を振りまいて回った。
やがて女は、おそらく今夜は吸血鬼の当主がこの村に入れないであろう事を告げると、無造作に村の井戸端で眠りに落ちては大きな寝息を立ててしまった。
果たして、この夜は吸血鬼の当主の叫びは遠い街道から聞こえて来るばかりで村に入らず、人々は驚いて翌日の朝を迎えた。
村の人々は再び驚いた。昨日の酔っぱらいの女が下着に革の前掛けというあられもない姿で洗ったドレスを干しつつ剣や斧を手入れしている。女は村人たちに微笑みかけると洗濯場を借りた事について礼を言い、再び黙々と装備の手入れを続けた。村人たちは手を止めない女に昨夜の不思議その他について多くの質問をし、やがて多くの事を知った。
この大柄な美しい女は多くの神々の導きのままに旅する旅巫女にして戦士であり、何とはなしに啓示を感じてこの地に来たのだという。そして、死ぬこともできなくなった吸血鬼の当主の眼は今や憎しみと苦悶に濁り、人々や自身の恐れや悲しみを道として彷徨っているため、酒によって憂いを断った道が見えなくなったのだと説明した。
嘆息する人々の感心をよそに、堂々とした旅巫女はこのバルコダで最も信仰を集めている場所を尋ねた。村人たちは幾つかの神殿や祠の名を出しつつも、最後は『斧割りの滝』と呼ばれる聖なる滝で一致し、旅巫女がこの場所についてさらに尋ねると、バルコダの奥地にあるこの聖なる滝は古来から武の女神マリーシアと狩りの女神モーンをともに祀っている珍しい場所と語った。
この話に旅巫女は大笑いした。マリーシアとモーンは大変に仲が悪く、この二柱の女神を同時に祀っているような場所は都会では皆無であり、田舎らしい無知またはおおらかさかと考えた旅巫女にはこの話が愛おしくも感じられていた。村人たちはこの様子に少し不機嫌になりつつも、つまるところこの滝がどちらの女神の聖域か決着がつかず、ある時天から落ちてきた斧がこの滝の流れを二つに割り、仲の悪い二柱の女神を二つに分かたれた滝に別々に祀る事で決着がついたのだという言い伝えを語った。
この話に旅巫女は笑うのをやめて真顔になると笑ったことを謝罪し、人々にこの滝の場所と行程を聞いては早々に用意を整え、日の高いうちに村を後にした。
健脚な旅巫女は自然豊かで夏にしては涼しいバルコダ地方の山道の旅を楽しんでいた。『斧割りの滝』に近づくにつれてせせらぎの水音が賑やかになり、旅巫女は小さな滝のあるせせらぎに足を入れると、幾つかの岩を裏返しては川虫を取り、これを餌にして釣りを始めると、やがて数匹の川魚を釣り上げた。
半分を焼き魚として昼の食事にし、残りは捌いて酒で洗って塩を振ると、適当に分かれた木の枝に紐を張ってぶら下げて旅を再開した。時には乾物を作りながら旅をする旅巫女の知恵である。しかしこれにはもう一つの意味があった。
蝉の鳴き声が物悲しく聞こえ始めた夕方、『斧割りの滝』にたどり着いた旅巫女は、予想より遥かに規模の大きい滝を首が痛くなるほどに見上げた。容易く見られるような規模の滝ではなく、遥か高くから常に豊かな水が流れ落ちており、あたりは涼やかで清浄な水煙が漂っている。
この水煙の遥か上、ある一点から滝は真っ二つに分かたれて水が流れ落ちており、その部分には何やら大きな平たい鉄塊が岩壁に食い込んでいる。旅巫女はこの鉄塊に神々の意志を明確に感じ取った。この場所が神々から見えている事を確信した旅巫女は、次に滝つぼ近くのマリーシアとモーンの神像を見やる。
目を閉じて聞き耳を立てるような姿勢のマリーシアの立像と、立派な角のある鹿の頭骨を仮面とした、しかし美しい女性であろうモーンの立像。旅巫女はあえて分かたれた滝の中心にある大岩の上で簡素な祭壇を作り、川魚の干物と酒を供えると、決してどちらの女神の名前も出さずにこの地方の人々の窮状を訴えては一心不乱に祈り続けた。やがて日が落ちて霧が深くなる頃、しばらく全霊で祈りを捧げていた旅巫女はいつしか眠りに落ちてしまった。
ひんやりとした夜霧が旅巫女の髪に水滴として集まり、やがてそれが旅巫女の腕に落ちて、目覚めた旅巫女は起きようとした。しかし、夜にしては異様に明るい空と、何か身の引き締まる厳とした聖なる気配に気づいて、顔を伏せたまま周囲を探る。その様子を何者かがとがめた。
──顔を上げろ、やや不遜な旅の巫女。このモーンにいかなる用だ? あいにく、隣の忌々しい女はこの地にいないのでな。
人ならざる威厳ある涼やかな声に旅巫女はゆっくりと顔を上げた。鹿の頭骨の仮面を被ったモーンの神像の前に、黒い毛皮のドレスを着て長く暗い赤髪をした魔女のような女が腰かけており、さらにその女の周囲には黒い毛で全身の覆われた、牛のように大きな三頭の猟犬たちが侍っており、それぞれの眼は爛々として旅巫女を見ている。
旅巫女はこれが、古き狩猟の女神モーンがしばしば魔女として猟犬を連れて歩く時の姿であろうと目星をつけた。多くの場合、情念を肯定することを女神たちは嫌って魔女の相を持つ事を隠したがるが、モーンは女神でありながら情念を肯定する裏表のない女神だった。
しかし同時に、魔女姿のモーンはしばしば残酷かつ獰猛でもあり、旅巫女は何か困難な話が出る事を覚悟して平伏した。旅巫女の覚悟と心を見抜いてか、魔女姿のモーンは微笑む。
──あの吸血鬼の当主を完全に死なせてやることは因果により難しい。しかし、残された理知の部分をのみ、首を刎ねて旅立たせてやることは出来る。首無き遺体はそれでも彷徨おうが、それは闇に生きる者及び、そのような者に税が安いからと仕えた民草も悪い。因果は受けねばならぬ。
モーンの言う事はもっともだった。
──あの吸血鬼の当主に敵意を向け、あるいは戦えばより手が付けられなくなる。従って、気付かれぬうちに首を刎ねるのが最も良い。さてその方法だが……。
魔女姿のモーンと猟犬たちを光が包み、猟犬たちは消え、モーンは翡翠色のドレスに素顔をさらした美しい姿となった。しかし黄金に輝く瞳は獰猛そのもので、旅巫女は息をのむ。
──我ら女神がしばしば好んで衣服とするこの翡翠蚕(※翡翠を主食にする蚕および、この蚕が吐き出す翡翠の糸及び織った生地の事)、この糸を街道に張り首を刎ねるのが良い。しかし、この糸の持ち合わせは無く、お前は自力でこの糸を手に入れなくてはならない。
モーンは再び猟犬を連れた魔女の姿に戻ると、これから言わんとする事が愉快なのか、しばらくおかしそうに笑っていた。ひとしきり笑ったモーンは笑顔を隠さないまま話しを続ける。
──翡翠蚕を得るには、まずもって翡翠の木の枝を手に入れ、これを翡翠蚕に食わさねばならぬ。これを得るには、お前は死した古代の豪族と寝ねばならぬがその覚悟はあるか?
旅巫女はこの言葉に息を呑みかけ、しかしそれをやめた。多くの場合神々は口数少ないものだが、モーンはわざわざ魔女の相で現れては言葉多く、かつ楽し気に話している。実は面倒見が良いとされるこの女神の本質を見誤ってはならないと考えていた。旅巫女は神妙に、しかし神秘を楽しむ気概でこの事に臨む覚悟があると答えた。
この対応に、モーンは微笑んで一頭の猟犬を指さした。
──我が従者の一頭を遣わす。死した豪族の墳墓は隠されているゆえ、従者の後ろをついていけばよい。我が従者を伴えばいかなる禍も起きぬ。して、墳墓を見つけたら豪族たちの石室を探すのだ。ほとんど全ての豪族は夫婦で眠りに就いておるが、一人だけ奥方の棺がない石室がある。お前はそこで奥方の棺台に横になり、死した豪族の奥方役を務めるのだ。その謝礼として『翡翠の枝』を求めよ。
森の薫り高い一陣の風が吹き、旅巫女が瞬きをする間に魔女姿のモーンと猟犬たちは消えてしまった。猟犬も全て消えたかと旅巫女は驚きかけたが、何か足をくすぐるものに気付いて見やると、そこには黒く耳の長い子犬が盛んに尻尾を振っている。旅巫女は思わず抱きかかえたい衝動をぐっと飲みこんで、無礼の無いように黒い子犬に挨拶すると、子犬はついて来いと言うように勢いよく走りだした。
なぜあの大きな猟犬が子犬の姿になったのか、旅巫女はすぐに理解した。子犬はただの岩壁にしか見えない蔦に隠された崖の裂け目、大岩と大岩の間の隠された通路、倒れて化石化した大木のうろといった秘密の道に旅巫女を導いた。このような狭く隠された場所を何箇所か通り過ぎて、やがて岩壁にぐるりと囲まれた、いくつもの洞窟が口を開けた陰気な場所に出た。
旅巫女は高い岩壁の遥か上、歪んだ円に切り取られた夜空を見やった。この隠された墳墓には星明りも日の光も届かず、微妙に生者と死者の世界が重なり合っているように感じられた。折りしも来訪者に気付いてか、各洞窟の入り口に青白い鬼火が灯る。足元を見ればモーンの遣わした子犬は仕事が終わったと言わんばかりに丸くなってしまった。
旅巫女は衣装と髪を整えると、ひときわ強く良い香りのする酒を口に含み、ゆっくりと呑み下した。次に左右の手指を開いて指を重ねる、生者が死者の領域に立ち入る際の所作をして各洞窟の奥の石室を順に廻った。三つめまでの石室は二つの石の台座に棺が乗っていたが、四つめの石室は二つの台座に対して一つの棺しか載っていなかった。その石室の壁に青白い灯火が灯り、壁に刻まれている被葬者の詳細が浮かび上がる。
──バルコダの名付け親となった一族、その若き次期当主、悪しき病の流行にも果敢に篤行を尽くすも、おのれも病により妻をめとる事なく死す。
しばらくこの文字を眺めていた旅巫女は、やがて意を決して深く息をすると、遊女やおおらかな女に加護を与える女神、麗しきカイネの祈りの言葉を唱えた。
──暗い嵐の夜に旅立つあなたに、束の間の春の花を。
そして旅巫女は棺の台座の上に身を横たえ、ゆっくりと目を閉じた。
はたして翌朝。旅巫女は夏の朝の気配を感じてがばりと起きた。石室の中は昨夜の陰鬱で湿った気配と異なり、どこかほの暖かく乾いている。さらに、旅巫女は目を閉じてから起きるまでの間に、一日ではとても足りないような記憶が増えている事に気付いた。
色の無い灰色の夢のような世界と、本を好む痩身の若い男の、どこか自分の運命を悟っていたかのような暗く聡い目。旅巫女は隣に横たわる古い棺を見やった。今はその中に眠る男がどんな人生を生きて、何を考えていたのかも何となくわかる気がしていた。しかし、旅巫女はひそかに楽しみにもしていた部分の記憶があまりない事と、少し物足りなさを感じている自分に気付いた。
そんな自分に苦笑しつつ棺台から降りようとした旅巫女は、壁際の祭壇に淡い若草色に輝く翡翠の若枝が置いてあるのを見つけ、その見事な造形の宝物を手に取ってしばし眺めると、棺に向かってある軽口を叩いては微笑み、事が成ったらもう一度だけここで一夜を過ごす事を約束して石室を出た。
石室を出た旅巫女はあの耳の長い子犬を探して周囲を見回す。と、うっすらと銀色に輝く穂をつけた大きな薄の茂みが揺れ、一本の薄をくわえたあの耳の長い黒い子犬が現れた。旅巫女はこの小さな聖なる猟犬に触れようとしたがそれは叶わず、子犬は旅巫女の足元に茎の太い薄を落とすとくるりと回って走り始めた。
旅巫女は子犬の落とした薄を手に取ってよく見る。おそらくこの薄は墓場に植えられた悪いものを祓う薄で、これを子犬が取ってきたのには何か意味があると考え、背中の荷袋に挿しては子犬の後を追い始めた。行きよりは勝手の分かる帰りは『斧割りの滝』に戻る事は容易く、再び滝の中央にある大岩で祈りを捧げると、黒い子犬はモーンの像の傍で大きな猟犬の姿となり、合わせるように牛のように大きな二頭の猟犬と、魔女姿のモーンも現れた。
──お前はなかなか気の良い女のようだ。幽世での一夜はどうであった?
旅巫女はこの問いに、若い貴族は女慣れしていないのか自分に気を使ったのか、女の扱いは傲慢な貴族ではなく小作人のようであったと言い、モーンはこの意外な言葉にしばらく笑った。
──良い。旅巫女、お前は資質があるな。
ひとしきり笑ったモーンはその後、彷徨える吸血鬼の当主の首を刎ねる手順について旅巫女に語ると、さらにもうあまり時間が残っていないであろう見解を語り始めた。吸血鬼の当主はほどなくして理性を失い、恐ろしい不死の化け物に姿を変えて人々を無差別に襲うようになるかもしれず、早ければそれは今夜か明日でもおかしくないと語った。
旅巫女はこの話に真顔になったが、魔女姿のモーンは不敵に笑う。
──お前は罠をかける狩人だ。獲物を恐れすぎる事はない。そして事が成ったら血の荊の武器はここに持ってくるのだ。災いは減らさねばならぬ。
モーンはそう言うと、先ほどの話がよほど面白かったのか、かすかに『小作人とはな』という言葉と共に笑いが尾を引きつつも姿を消してしまった。旅巫女は自分の手にある翡翠の若枝と墓場の薄を交互に見てはモーンの語った手順を頭の中で繰り返す。その後は滝にうたれて身を清めると、酒によって清めた集落へと戻ることにした。
first draft:2024.08.25
コメント
さらりとしていながら読みごたえがあり、台詞が少ないことで想像に任せて読めるところが良かったです。どこかしら昔の翻訳文体に近い所も嬉しかったです。
私もハイファンタジーを書いてみたいのですが、エタるのは必至なので……(実は試しにちょっとだけ下書きを書いたことはあります)
せっかくなので昔の翻訳作品のように楽しめるように、という方向性で書きました。たまにはあまり会話文の無い物語も良いものですよね。
ありがとうございます!
まだ半分ですよね? にもかかわらず、世界観の中で泳げてしまうぐらいの深遠さを感じました。まさに噛めば噛むほどに味が出る。人物も一癖二癖あって魅力的、しかも人物の造形が世界観の統一性を高めているようで。
個人的に特に刺さったのは、国の事態が深刻化したことについて吸血鬼を受容してしまった民の倫理性が問われているところですね。物語にはこういう部分もすごく大事なんだなと改めて思います。
とにかく存分に堪能させて頂きました。前編だけでもかなり満足な作品ですが、もちろん後編をお待ちしております。
ありがとうございます!
短編にして全く短編にあらずな、例えば異なる世界の旅をそのまま楽しめるようにしたい試み、上手くいっていたら嬉しいです。後編もお楽しみください。
地の文が多いことが格調に寄与しているので、台詞というものはこのくらいでも良い場合もあるのだな、と勉強になりました。
海外小説の翻訳のような趣きで、良い意味での硬さがあると感じます。
ありがとうございます!
台詞と地の文がしばしば話題になるので、たまにはほとんど地の文の作品も良かろうと書いてみました。
書いててかなり楽しめました。