主物質界(プライマ・リア)
私たち人間が何とか肉体のままで行ける世界、と理解すると良いだろう。いわゆる物質界の事をこの物語世界では主物質界と呼ぶ。以下に主物質界の範囲となる各世界について説明する。
無限世界(イスターナル)
大賢者たちによれば、『人なる神の時代』とされる今、無限世界は人の形をしている可能性があるとの事。
『泡の塊の如くに』と多くは表現される、無数の世界の集合体。活気ある世界は黄金に煌きを放って見えるとされている。これらの世界は各世界の境界が後述する氷獄であり、この部分を通して厳密には繋がっているとされる。また、無限世界をこの形にして一定の『律』の光によって照らしているのは『界央の地』と呼ばれる至高の地であるとされている。
現在の無限世界は『人なる神の時代』と呼ばれる時代で、『原初の大征伐』を経て基軸の三千の世界が定められ、そこから無数の世界が派生したと伝わっている。現在作中では、『竜の時代』、『岩と大樹の時代』、『獣の時代』などが言及されている。しかしこれとは別に『旧世界』と呼ばれるノクトラが存在しており、船の民がエルフなどと通称する『闇の古き民』『光の古き民』はその時代に起源をもつとされ謎が多い。
ウロンダリアにおいては『外つ世界』と呼ばれている。
現在登場した各世界については別のページで。
界央(セトラ)の地
無限世界に光と秩序の性質を持つ『律』をもたらしている至高の地であり、現在の世界を定めた『隠れし神々』の意思が降りてくる地でもある。この地には現在『隠れし神々』の言葉を伝える聖魔の王『告者』イスラウスが座しており、彼は多くの世界や種族との契約の証たる儀式的な多くの妻たちと共にこの地にいるとされている。
この領域の周囲には幾つかの『至聖下の地』が存在しており、現在は『栄光の地』ホーダーが登場している。
永遠の地ウロンダリア
無限世界のどこかに存在している通称『永遠の地』。『ダークスレイヤーの帰還』の物語の半分以上はここが舞台となる。非常に広大で、しばしば『高き地』とも呼ばれる、特に由緒ある八つの大国のある古ウロンダリアと、広大な魔の国キルシェイド、南方、西方、南西の各新王国などからなる。
詳細は個別ページで。
永劫回帰獄(ネザーメア)
どうも各世界及び無限世界全体の外側、『氷獄』よりも外にあるらしい領域。現在この領域は『界央の地』にとって不都合な様々なものが封じられ、黒い炎に永劫焼かれ続けるとされている。黒炎が舞い、焼かれ続け、いつも灰が降り続けているとも伝わる。
一部の女神や大賢者たちなどは、この永劫回帰獄こそが『世界終焉後の真の姿』であると考察しており、無限世界の有限性及び回帰性が帰結する世界であるため、ある種の法則から解脱できない全ての者がこの領域から出る事はかなわないとされていた。
しかし、この領域に封じ込められたにもかかわらず出てきて、この領域を剣の形に焼き固め、無限世界の絶対者たちを殺してまわるものが現れた。ダークスレイヤーと呼ばれる、『名を消されし者』である。
鍛冶神ギリムの工房
永劫回帰獄のどこかにあるらしい、鍛冶神ギリムの工房。ギリムはかつて界央の地の美形の技巧神アルマスだったと言うが、現在の彼は異様に右の肩の筋肉が発達した、禿げあがった醜い隻眼の老人の姿をしている。『ガリエルは永劫回帰獄に至りて』、『月の悪女は解き放たれる』に登場。
焼かれし諸王の地
『ガリエルは永劫回帰獄に至りて』や本編の第四章第四話『混沌の花の神ヴァラリス』にて触れられている、永劫回帰獄の領域の一つ。無限世界の様々な皇帝や王たちのうち、主に界央の地にそぐわず力のある者たちが封じられた領域。
──灰の舞う視界の中、崖とも回廊とも、あるいは塔ともつかない多段の構造をなすものが彼方まで続き、上も見れば暗い空の彼方まで続いて限りがない。そこには玉座ごとミイラとなった王のような者たちの姿が延々と並んでいた。人であるもの、人に近いもの、全く人ではないもの、様々な姿があり……。
※エピソード『ガリエルは永劫回帰獄に至りて』より。
──王のミイラのような者たちの王冠の上には、しばしば火の粉が無数に集まっては渦巻いて竜巻のごとく燃え上がり、たまには半透明に透けた白い骨が茸のように積み上がって見える事もあった。
と描写されている。
また、第四章第四話では混沌の花の神ヴァラリスが主人公に対して、彼がこの領域の王たちから様々な知識を引き出せるため、女性を捉えて離さない知識や技も持っていると推測しているシーンがある。まだまだ謎の多い領域の一つ。
氷獄(クエリス)
無限世界の各世界及び全体の外周。『全てが冷え切った世界の終わりの姿』とされ、星の無い暗い空と、氷に閉ざされた冷たい世界が延々と続いている。幾つかの書物にはこの領域をさらに詳細に分けたものも存在するが、それらは憶測に過ぎない。
一部は冷たい地獄『冷獄』とも繋がっているとされている。
現在、この領域には監視者兼守護者がおり、『氷の女王サーリャ』がその役割を果たしている。かつてこの地には無限世界にとって有害な多くの存在が、その厚く冷たい氷の下に永劫封じ込められたとも伝わっているため。
絶大な力を持つ氷の女王サーリャがこの領域の守護者となって以降は、彼女の持つ莫大な冷気が冷たい月の形に固められ、この領域を冷たく美しく照らし、彼女の名前の語源となった氷の花、サーリャがその光を帯びて絶え間ない吹雪に揺らいでいる。
クエラ・ニ・ナリ(大部分の凍てついた地)
エピソード『氷獄のふたり』にて初登場。『大部分の凍てついた地』を意味する言葉で、サーリャの文化圏の言葉らしい。氷獄は基本的にこのような暗黒と凍てついた永久の氷床が続いているとされる。
氷獄と永劫回帰獄のはざま
エピソード『氷獄のふたり』にて初登場。クエラ・ニ・ナリに開いた大穴に降りたダークスレイヤーとサーリャが見出した地。それぞれの領域の力を持つ二人が触れ合った事により行けるようになった領域らしく、『普く知を持つ者』、『暴と名乗る存在』といった特殊な存在たちと邂逅して、世界の秘密に少しだけ触れる事となった。
妖精界(アルン・リア)
第四章第十三話『精霊の船サナラ・アルラ』などで言及されている、妖精たちの世界の事。船の民がしばしばエルフなどと呼ぶ『光の古き民』『闇の古き民』などが出入りしているらしい世界。精霊界ともかなり繋がりの深い領域とされ、そのまま移行できるとも。
古き民たちは現世での役割を終えたと解釈したらこの妖精界に移行して静かに物質界を見守っている事があり、複数世界で有名な『光の古き民』の伝説の女傑『花なる歌のエレファリーン』が今もこの妖精界にいて、虐げられたとはいえ敵対的な『闇の古き民』に起源をもつネイに『精霊の船サナラ・アルラ』を貸し与えた事にセレッサが驚いているシーンがある。
※しかしながら『光の古き民』『闇の古き民』は旧世界とされるノクトラともかかわりがあるとされ、妖精界がこの旧世界と関りがあるのかは注意深く見る必要がある。
夢幻時(イノラ)
独特な『時』のみが存在するためにそう呼ばれる、しばしば夢の領域とも呼ばれる世界。夢の力の色とされるうっすらとした聴色に満ちているとされる。この領域と関りが深いのは『無限世界で二番目の美女』とされる夢魔リリムまたはリリンの『不機嫌なセア』とされている。
嵐と花の宮殿
『無限世界で二番目の美女』とされる夢魔リリムまたはリリンの『不機嫌なセア』の領域。『ディレニスの雪・後編』でこの領域が出る。このエピソードでは屈指の悪女とされる『月と陰謀の女神イシュクラダ』と、『古き狩猟の女神モーン』と何らかの会合をしているが……。
夢の都イーストリエ
第三章第十話『夢魔たちの夜』が初出。夢幻時に存在しているらしい都で、この都からは既に破壊されて失われた多くの世界に行く事が出来るとされている。
この都の主は『名もなき思い人の君』と呼ばれる黒装束の美しい夢魔リリンで、作中のある人物の別の姿の一つらしいことが判明している。
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