第三十二話 月の花と黒い花

第三十二話 月の花と黒い花

 『古都こともん』の洞窟内広場。

 シェアとカレンは円を描くように対峙しつつ、しばしば数合切り結んでは離れるという膠着こうちゃくした状態にあった。

 シェアの目は静かで、対する表情のないカレンのほうがどこかに苛立ちが漂っている。この二人の剣技は退魔教会たいまきょうかの直線的で隙の少ないもので、それは女性向けの速度と確実性を重視した必殺の剣だったが、カレンから見たシェアは以前よりも柔らかさが漂っており、それが余裕に感じられてカレンを苛立たせていた。

「はっ!」

 カレンは袖の仕込み刃を放って踏み込む。身体をひねってそれをかわそうとするシェアの動きを読み、必殺の気合いを込めた右の剣の突きから、しびれ薬を塗った左の小剣で傷を負わせ、シェアの動きを止めるはらだった。

(えっ⁉)

 ところが、シェアは仕込み刃をかわした回転から一瞬の背を見せたのち、カレンの踏み込みそのものを斬るような、右手の剣での伸びやかな切り上げを放ってくる。

 カレンは踏みとどまって二剣でその斬撃を凌ぎつつ、後方に飛びのいて態勢を整えた。

(なに、今の……!)

 喉に突き立つか、顔を割られかねない返し技。しかも、全力ではなく加減の気配が感じられていた。

「腕を上げたわね」

 皮肉でも何でもない、単純にカレンを認めるシェアの声。苛立つより先に冷や汗と悪寒がカレンの心を湿らせる。

「あなたの方がもっと腕が上がってるくせに、よく言うわ。……本当にどこまでも嫌な女ね。しかも私たちの剣技ではないわ……!」

 しかし、カレンの悪態は新たな悪寒に塗り潰された。シェアは伏し目がちに微笑を浮かべていたが、控えめに見ても楽しそうなのが伝わっており、刺客としての自分の脅威を楽しんでいるシェアの得体の知れなさがカレンの心を冷やした。

「何がおかしいのよ!」

「おかしいのでもないし、見下しているわけでもないわ。気を悪くしたらごめんなさい。死ぬかもしれないのに、自分の変化や成長が少し嬉しかっただけ」

「死ぬかもしれないなんて、思ってもいないくせに!」

 カレンは猛然と踏み込み、鋭い連撃を仕掛けた。以前なら小さな傷も目的とした鋭い斬り合いになっていたが、今のシェアはしばしばカレンの隙を大きめの斬撃で潰して距離を取り、優位に場を保っては仕切り直している。

 シェアの左手の分離させた小剣もしばしば丸い柄尻での小さな打撃として打ち込まれ、じわじわとカレンの動きを重くし始めていた。その打撃は本来なら柄尻の突起での突きであり、シェアがその気なら毒を塗る事も可能なはずで、カレンは既に敗れていてもおかしくなかった。

 再び距離を取ったカレンは問う。

「誰の剣? 以前のあなたの剣ではないわ。私たち退魔教会の剣技と違う。男の人の剣技だわ」

「眠り人ルイン様の剣だと思います。たまに、息が切れるまで立ち合いの相手をしてくれますから」

 退魔教会の剣技は暗殺の技に近く、相手に確実に傷を負わせて場を有利にしていく趣旨としては完成された剣技だった。しかし、その剣技にシェアの才能を生かした伸びやかな正統派の剣技が増えている。

「『キルシェイドの眠り人』ね。噂通り厄介な男みたいね」

「信頼できる人です。とても」

「そう、良かったわね。さぞかし楽しく『夜の立ち合い』もしているんでしょうね。それこそ息が切れるまで」

「えっ⁉ してません! そんな……事!」

 シェアの心が乱された隙をついてカレンは距離を取ると、腰のポーチから銀製の注射筒を三本ほど取り出した。

「これを使うしかないみたいね。ついて来れる?」

 錬金術れんきんじゅつによって即効の魔術効果と遅延性ちえんせいの薬物効果を併せ持つ注射を打ったカレンは、疾風のように洞窟の外に姿を消した。

「誘い出したいのでしょう? 乗るわ。ルイン様との誤解も解かなくてはなりませんし」

 シェアもまた注射筒を取り出すと、肩と腿に一本ずつ打ち込む。

「……行きましょうか」

 目を閉じて呼吸を整えたシェアは、弾かれたような速さで洞窟の外に姿を消した。

 しかし、実はこれは仕組まれていた事だった。シェアとカレンの気配が遠ざかったのち、灰色の上質なローブとフード姿の人物が洞窟に姿を現す。

 その人物の腰には、磨かれた優美な頭蓋骨がぶら下げられていた。フードをはいだその顔は、『血塗ちまみれの錬金術師』と言われる男、ダクサス。

 ダクサスは不敵に笑うと、満足げに独り言ちる。

「カレンめ、うまくおびき出したか。しかしこれは私の読み通りならエドワードめ、私に秘密にしている事があるな。あの教導女だけが取り残された理由はおそらく、これに反する存在だからであろう」

 ダクサスは腰の頭蓋骨を取り出すと、さらに小瓶を取り出し、中の赤い液体を振りかけた。

「あの緑の小人の娘と狼を殺せば、全ての流れが変わるはずなのだ。……時の水晶よ、戦いには加勢するぞ」

 壁の文字が光ったままの『古都の門』の術式は再び発動し、『血塗れの錬金術師』ダクサスの姿もまた、光の彼方へと消えた。

──錬金術とは、万物で唯一完璧な金属『金』への、物質の変容を探求する過程で、錬金術師本人の人格の完成を目指すものである。すなわち、真の人を目指す事。そこへと至った錬金術師が手にするのが『賢者の石』である。

──ベル・フィアルス著『錬金術』序文より。

 『古都の門』の洞窟を飛び出したシェアとカレンは、木々に留まる鳥が飛び立つより早く、大木の枝から枝へ、時に中途半端な石造の遺跡の上を混ぜつつ、素早く移動していた。

 やがて、崩れた古い聖堂跡せいどうあとのような遺跡を大木が取り囲む開けた場所に至る。

「この辺りなら私たちの立体的な戦い方を存分に発揮できるわ」

「……戦わなければ納得しないのでしょう? どこまで手加減できるか自信が無いわ」

 挑発でも何でもない懸念けねんをシェアが口にする。しかし、それがカレンの何かを燃え上がらせた。

「うるさい!」

 髪が逆立つような叫びと共にカレンの姿が消える。見もせずに素早い風切音を感じ取ったシェアは、それが仕込み刃だと感知しては、矢のように飛んで枝から枝へと蹴りつつ移動していく。これを誰かが目撃したとしても目にも止まらない動きの中に、二人の高度な牽制けんせいと間の取り合いが続く。

(んっ!)

 シェアは肩と足首にわずかな鋭い痛みを感じた。足首に刺さる小さな釣り針状の針が一瞬見える。

(蚊幕かまく!)

 多くの場合は有毒の釣り針状の針を、細い糸で相手の移動経路に仕込んだものだ。退魔教会が大きめの魔獣をじっくりと狩る場合の伝統的な仕掛け罠だが、対人に使う事ももちろんあった。

(誘われたわね、なら……)

 仕込み刃や短剣が飛んでくる中、シェアは素早く次の跳躍先を見極める。枝の茂みの広い隙間と、狭い隙間。おそらくどちらも蚊幕かまくが仕込んであるはずと見切りをつける。シェアはポーチから火の精霊力の発動と防護が同時に行われる呪符を取り出し、発動させ、そのまま狭い隙間を通る。

──炎呪符えんじゅふ蚊幕返かまくがえし!

 シェアの全身の一回り外を覆うように、一瞬だけ灼熱の炎が燃え上がる。

 仕掛けられた対人用の蚊幕はこれで焼き払われた。木の葉だけではないチリチリとした燃焼音に蚊幕の針が焼かれ落ちる確信を持ったシェアは、隙間の向こうの着地したい枝の上に張られている縄に気付き、仕込み刃を放ってそれを断ち切ると、たわんだ枝を利用してより上の大枝に鍵縄かぎなわをかけて跳ぶ。

 しかし、大枝に着地したシェアの背後からカレンの気配が迫ってきていた。

(取った!)

 ひじの仕込みとげをシェアの背中に叩きこもうとしたカレンはしかし、シェアの姿を見失い、一瞬後に背後から蹴り飛ばされた。

 ほぼ立ったままの姿勢から予備動作なしで宙返りして相手の後方に着地する、シェアが得意とする体術だった。

(こんな場所で、あの状態からそれを?)

 危機よりも驚きが勝るカレン。

「私が敵ならあなたは死んでいたわ、カレン」

「だったら殺せばよかったでしょう?」

 カレンはブーツのつま先から刃を出してしなやかに前転する。身を引いたシェアのローブのスカート部分が切り裂かれた。

「あなたも私も同じ。殺すだなんて。……でも」

 シェアは切り裂かれたスカートを足の付け根まで引き裂いた。美しく長い脚が少しだけ現れる。

「動きづらいわ。……そんなに苛立つなら、少し蹴り合いくらいしましょう?」

「望む所よ!」

 カレンのしなやかな回し蹴りを、シェアが剣身を腕に沿わせて防ぐ。しかし、ブーツの踵から鋭い刃が飛び出し、シェアはさらにそれを首をひねってかわした。押し返して、シェアもまた左足を軸に、樹上で激しい蹴りの応酬が始まる。

 カレンは踵とつま先から刃の出たブーツに対し、シェアは金属板で防護されただけのブーツだ。刃は仕込んであるが、それは出さない。

 歯を食いしばって体幹を保ち、片足立ちで変幻自在の蹴りを放ち続けるカレン。しかし、体格でわずかに勝り、さらにルインとの立ち合いで呼吸を学んでいたシェアは、崩れる様子を全く見せずにこれに応じている。

 樹上で展開する、ひらめく刃と、しなやかな女の脚。命のやり取りなのにどこか美しいそれは、やがて二人の蹴りが交差して止まる。

「何という……体幹の強さなの……!」

「少し鍛えられただけです」

 息切れ寸前のカレンはゆっくりと脚を戻し、シェアもまたそうする。しかし、その表情にまたうっすらと、カレンの大嫌いなシェアの幽かな微笑が漂っている。

(またその笑みを……!)

 どこか空恐ろしいその笑みは、カレンを苛立たせるものがあった。

「もう十分に立ち会ったと思います。情報とは何ですか」

「そうだったわね」

 カレンはため息をついて間を開ける。

「見えない月の魔物と戦ったでしょう?」

 言いながら、カレンは退魔教会の合金製の符牒札ふちょうふだ(※暗号連絡用の小さな札)を取り出した。カレンはそれをはじき、シーンと響く微かな金属音が聞こえる。

「人間の耳には、これを鳴らした時の音は聞こえないのよ。でも、あなたや私。いいえ、かつての『月花隊げっかたい』の子たちや、新王国でたまに見つかる『月の花』と呼ばれる血脈の女には、この音が聞こえるのよ」

「何の話ですか?」

「そして、その血脈の女は大抵、見た目が美しくて、身体能力がとても高い」

「何が言いたいの?」

 カレンは綺麗な顔を歪めて笑った。

「それはね、私もあなたも汚らわしい月の魔物の血を引いた、厳密に言えば化け物だからよ!」

「……え?」

「だからあなただけ世界樹の都に行けず取り残された。だって魔物なんだから」

「……嘘」

「そんな汚らわしい女が『眠り女』だなんて笑わせるわ。いずれあなたははじき出される」

──汚らわしい女が!

 激しい罵倒の記憶が蘇り、突如としてシェアの脳裏に、焼きごてで背中を焼かれた時の記憶と痛みが蘇ってきた。

「いやーっ!」

 剣を取り落として震えるシェアに対し、カレンは指を鳴らす。狂乱状態にあるシェアの首や肩に、三本ほど赤い羽根のある吹き矢の針が突き立った。

「……あっ、しまっ……!」

 しびれて、声が出ない事に気づき、シェアは暗い濁流のような恐怖に襲われる。落とした剣を拾おうとして足を滑らせたシェアは何本かの枝を折りつつ落ちていった。

「……ル……!」

 ルインの名を叫び、皆の名を呼ぼうとしても声が出ず、シェアは背中から木の根に叩きつけられる。目がかすみ、息が出来ているのかもわからない息苦しさだった。

(ルイン様! みんな!)

 落ち着いた日々が闇の彼方に去り、おいていかれるような孤独と共に、何かを探ろうとするシェアの心が、触れてはならない何か取り出そうとしていた。はるか遠い闇の中から、自分の声が聞こえてくる。

──やめて! お姉ちゃんにひどい事しないで! お姉ちゃんに何をしているの?

 シェアはそれでも、その記憶から逃れようとして目を開けて空を見ようとした。目がかすんで良く見えないが、それでも手を伸ばす。

(嫌! 思い出したくない! きっと耐えられない!)

 もがくように手を伸ばし、この恐怖から逃れようと声にならない叫びをあげる。

(誰か、助けて……! ルイン様!)

──大丈夫。落ち着いて。

 心に直接触れるような優しい声が聞こえた気がした。

(誰か助けて!)

──落ち着きなさい!

 強く優しい声がシェアの心に直接響き、シェアは少しだけ落ち着きを取り戻した。

「誰?」

──そのままじっとしていなさい。助けてあげるわ。

 ぼんやりした空に、黒い大きな影が現れると、それは地響きをたてて着地し、シェアの目にわずかに埃が入る。

「カラヴァス、ならず者どもを薙ぎ払え!」

 少女のように澄んだ、しかし勇ましい声。

ドゥ同意した!」

 応えるように、人ならざる力に溢れた叫び。

(ダギドラゴン?)

 黒い大きな影からオレンジ色の光がほとばしり、叫びが上がる。

「うわーっ!」

 しばしば聞いたことのある、焼け死ぬ人間の絶叫。カレンの声も続いた。

「何でダギドラゴンが? くっ、総員撤退! シェアのことはまたの機会にするわ! 撤退!」

(誰が? 何が⁉)

 やがて敵の気配は去り、ぼんやりした視界にちらちらと残り火と、あまり動かない大きな黒い影が残っていた。そこに何者かが歩み寄ってきた。露出の多い白いドレスと褐色の肌、そして、白い髪をしているのが分かる。

「火を消して、カラヴァス」

!」

 はげしい水音がし、視界の炎は消えていく。

「コーデル、この人の手当てを。解毒とちょっとした傷だわ。心も落ち着いて来たわね」

 涼やかな少女のような声が心地よく、それはシェアが聞いたことのない性質のものだった。もう一人、小柄な銀髪に褐色かっしょくの肌の人影が歩み寄ってくる。

「失礼します。傷の手当てをしますね。僕は身体は男だけど、心は女の子なので、警戒しないで大丈夫です」

「あ……」

 シェアは警戒していない旨を伝えようとしたが、うまく声が出ない。少女のような声が話を続ける。

「私たちが誰かは、まだ名乗らないでおくわ。それから、あなたの怪我は大したことないから大丈夫よ。そして、『二つの世界樹の都』に向かった仲間は、明日の夜明けに帰ってくるはずなの。私たちはあなたを手当てして、彼らに気づかれないようにあなたを『キルシェイドの眠り人』の所に返してあげるわ。だから……」

──今は落ち着いて眠りなさい。

 また心に直接響く安らかな声。眠りに落ちながら、シェアはなぜかその声に嘘偽りがなく安心できるものを感じていた。

──船の民の言うドラゴンことダギたちの名前は全て竜言語である。彼らの名前には竜の言葉による法則性があり、またその名前により得意とする能力に顕著な差異が見られることもある。それは自然そのものを意味してもいる。

──大賢者アルヴェリオーネ著『ドラゴンズヘヴン』より。

 銀髪の美しい少年がシェアの手当てをしている様子を見ていたのは、白い絹の露出の多いワンピースを着た、明るい褐色かっしょくの肌の女だった。

 やや極端にくびれた腰と、それに比しては大きめの胸と尻。しかしその手足は華奢きやしゃに過ぎて人形のようだ。真珠色しんじゅいろの長い髪は半上げ結び(※ハーフアップ)にしてあったが、それでも腰に届くほどで、前髪を避けた細い指が、猛禽もうきんのような金色の瞳をあらわにする。その尖った耳は、人間ではない種族であることを意味していた。

──『ウロンダリアの真珠』こと、放浪神イズニースの使徒、ネイ・イズニース。

「ありがとう、カラヴァス黒い雷

 ネイは長い銀色の角を持つ黒竜カラヴァスの鼻を撫でる。その大きな銀の眼は満足そうに細められた。

 前は胸元から、背中は腰の下までが大きく開いたワンピースは、ウロンダリアの様々な花がほぼすべて取り入れられた細密なレースのものだ。人間の愛玩用の種族とされる『真珠のエルフ』がしばしば着せられる高価な衣装。人はこれを『人形の服』と呼んでいる。

「どう? コーデル」

 若い遊女が着るような透けた服に、女ものの黒い下着だけという姿をした褐色の肌の少年は、束ねた長い銀髪を揺らして振り向き微笑む。

「眠りに落ちたみたいです。もう大丈夫ですね」

「そう。なら良かったわ。それにしてもこの子の心、泣きながら闇を彷徨う子供だわ。身体はいい大人の女だというのに、ラヴナ姫たちといい、『キルシェイドの眠り人』ときたら、なかなか大変な立場にいるようね」

 ネイは少女のような声でため息のようにつぶやく。

「でも……」

 そして、一呼吸おいて続けた。

「だからこそ……私のように、股の穴も心も擦り切れた女が一人くらいいても良さそうね」

「ネイ様、またそんな下品な冗談を言うんだから……」

「私はいつだって真面目よ? コーデル。私の冗談を聞いた事なんて無いはずだわ」

「そうでしたね」

 銀髪の美少年コーデルは、ため息混じりに応じる。

「イズニース様の神託を信じるのみだわ。私と眠り人が、互いにとって不可欠な運命を持つだなんて、ね。……でも、少しはそんな気配もするものよ」

 ここで、ネイには森と風の精霊たちの声が聞こえてきていた。

──それでいい。

「あなたたちまでがそう言い、皆を護れるというのならね。……さあコーデル、カラヴァス、帰り支度をしましょう?」

 黒竜カラヴァスは眠るシェアを優しくくわえるとその背中にそっと乗せ、ネイとコーデルも翼骨を足掛かりにその背に乗った。

「ム・スル! (空・飛ぶ)」

 龍言語でゆっくりと浮かんだ黒龍カラヴァスは、いずこかへと飛び去った。

──ウロンダリアの悪趣味な貴族たちの言う『人形』とは、愛玩用の『真珠のエルフ』たちのことを意味している。いわゆる『人権』のない彼女たちがどのように扱われるか、正式な記録は全くない。存在しない事にされていたからである。

──枢機卿コリヴ著『苦言』より。

first draft:2021.10.19

コメント