魔の都の西の櫓、眠り人と眠り女ほか
眠り人ルイン
本編の主人公で、ウロンダリアにしばしば現れる『眠り人』の予言に無かった二十一番目の男。その正体は無限世界の構造に異を唱えて戦い続け、最悪の存在とされた『名を消されし者』ダークスレイヤー。
美女がどれほど多かろうが全く揺らがず、しばしば超絶の戦闘能力を発揮する。
基本的に鷹揚な性格で器用だが、その本心は分かりづらい。チェルシーがいる時だけは少しノリが軽く、またかなり重度の武器収集家。
チェルシー・ネア
眠り女の一人。上位魔族ニルティスであり、夢魔リリムのネア氏族の姫君。普段は魔の国の小さなマント付きの給仕服に身を包み、ルインを『ご主人様』と呼びつつ西の櫓の諸々を切り盛りしている切れ者。見た目は少女のようだが、この姿はルインに対する『夢繋ぎ』の結果若返ったものらしい。かつての魔王の妃候補の一人。非常に口が達者。
所持している武器は普段は『はたき』の形にしている夢幻時の力を持つ剣ヴァリスと、『リリスの小言』という小さな上下二連の拳銃。
また、使い魔に中身が気の良い冒険者だった殺人ウサギのデニスと、一人称が『小生』の真面目なアヒル、ホッパーがいる。
『追われし魔族』の首魁アルカディアとは非常に仲が悪い。
クロウディア・クロウ
眠り女の一人。生身の人間は十名ほどしかいない影人の大国『影の帝国』インス・オムヴラの皇女。現在は暗黒騎士団の団長アレクシオスの造反によって『混沌』の侵入を受けたため、インス・オムヴラは『影無き光の箱』によって封印されている。
華奢で美しい人の姿に、人には見えない強靭で大きな影人の姿が重なっているため、見た目と異なり片側が炎上刃の片手半剣『ブラインドラ』を容易に振り回す。『鴉の師団』の騎士団長を務めるほどの武人でありながら、その心はとても純粋。料理の腕がなかなか上達しないため、暇を見ては練習をしている。口癖は『待って』。
かつての混沌戦争の大英雄たる父、影人の皇帝ダーサと、『恋人』の力を扱う眠り人であるマヌの娘であり、ウロンダリアでは家の格がとても高く人気者でもある。
シェア・イルレス
眠り女の一人。聖餐教会の教導女であり、水と慈悲の女神シェアリスに『純潔の誓い』を立てているため、同位階の教導女たちより扱える祈願の種類が多い。また、かつての退魔教会の特級退魔教導士エドワード・コッセルに師事していたため、戦闘能力も高い。
三章では退魔教会の妹弟子カレンと樹上を移動しつつ戦い、罠を呪符で焼き払い、華麗な蹴りの応酬を見せるなど、普段の落ち着いた言動とは裏腹の戦いぶりを見せた。
過去に大きなトラウマがあるようで、記憶を一部失っている。
セレッサ
眠り女の一人。『サバルタの黒き森』に隠れ住む『光の側の古き民』でも特に古い『上代』の尊称を持つ『ルフライラ氏族』の王女。精神の平衡を欠いた兄に売り飛ばされそうになり、眠り女に志願しに来た経緯を持つ。落ち着いておりながら空気がよく読めるため、しばしばルインの地味な危機を救っていたりする。
大抵、左右どちらかの目を前髪で隠しているが、これは血筋により『精霊の射手の目』という祝福を持っているため。この能力は遥か遠方に焦点を合わせたり精霊を見る事もできるが、同時に『穢れ』にも敏感で使い過ぎると疲労したり良くない影響も出るため。
男装の麗人として性別を隠されていた期間が長く、それゆえに話しやすく、また、女性らしい服を着るのが本当はとても好きな人。 ※しばしば本当に給仕服を着ているが、これは実は自分を売り飛ばそうとした兄たちへの強烈な意趣返しの意味がある。
大変な弓の技量を持ち、また王族の宝物庫から持ってきた幾つかの特殊な弓を使いこなす。
※三章において本名の一部がエレセルシス・ルフライラであることが判明した。
ラヴナ・ザヴァ
眠り女の一人。上位魔族ニルティスの中で、きわめて魅力的な女性ばかりの魔族メティアのザヴァ氏族の姫君。彼女は特に信徒も多く強大な大魔族の尊称『ダイオーン』に分類される。しかし本当は零落したキュベレ神群と呼ばれる古い女神らしく、普段の赤い髪の可愛らしい姿の他に、豊満に過ぎて角と翼のある魔族の姿と、獅子を従えた古い女神の姿など複数の姿があるらしい。また、普段の強気な言動とは裏腹に、実は大変な恥ずかしがり屋と古代から言い伝えられており、豊満な姿を見た者はごくごく少ないとされている。
魔術においては上位黒曜石及び人工生命に造詣が深く、また学者肌の魔王の一族ともつながりがあるため、二万以上の言語が読めるほか、部屋には大量の分厚い本がある。気やすい空気とは裏腹に、実は上魔王の妃である『魔后』が務まるほどの才女。
三章でははずみでルインと直に触れてしまい、領域の変質が起きたらしいシーンがある。
メルト・ヤルト
眠り女の一人。古ウロンダリア北西のヨルスタの巨人族の族長の娘。ヨルスタの巨人たちは謎の零落が起き始めており、利発なメルトは巨人にしては小さい身体と考え方の違いで勘当されており、いかがわしい店で働かされそうになるギリギリのところで眠り女になったという経緯がある。
失われつつある伝説の巨人たちの力を召喚できる独特な魔術を用いるが、バルドスタ戦教国の宮廷魔術師タイバスの話によれば巨人の魔術には何か禁忌があるらしい。しかし本人はとても明るくて親切な性格をしている。色々と大きい。
ゴシュ
眠り女の一人。古きヤイヴと呼ばれる緑肌の小柄な、しかし賢い亜人種族であり、『ギャレドの氏族』の族長ギャレドの娘。三章は彼女の復讐の物語でもある。『不帰の地』の探索に出た彼女及び彼女の氏族の顛末と、その復讐が三章の主軸となる。一人称は『あたい』。
活発で元気でとても前向きな性格をしている。
普段は西の櫓で革製のエプロンを身に着け、様々な料理の腕を磨いている。料理の師匠は美食家ザゲロ。複数の盟約で結ばれた狼『骨付き肉』とは大の仲良し。
ゴシュと骨付き肉
骨付き肉
古き縞狼と呼ばれる大柄な狼で、ゴシュの良き友。困難においてはゴシュを命がけで守った。ゴシュとは『使い魔の契約』『魔獣の血の盟約』での主従関係を結んでいるが、そんなものは二の次だろう。とても賢い。
アゼリア・ライカ
眠り女の一人。後期工人と呼ばれる器用で集中力溢れる種族で、工人の都市国家の大ギルド長ダルトンの娘。銃の扱いに非常に長けている。三章でも遠距離からの狙撃や爆弾で活躍した。実は数字にも強く、西の櫓の会計業務も手伝っている。ルインの事は『お兄さん』と呼んでいるが、この呼称は工人の女性が年上や先輩格の男性を呼ぶときの風習によるもの。
仕掛け武器の整備の関係上、シェアとは仲が良い。
アーシェラ王女(正式名称:アーシェラ=イェルナリス=レダ=フォヌ=バルドスタ)
眠り女の一人。ウロンダリアの八つの古王国、東の大国バルドスタ戦教国の正当な王女にして、現在は摂政。身分を隠して眠り女に志願していた経緯があり、二章は彼女とその国の物語だった。二章においてバルドスタ戦教国の主神『美しき大鷲』戦女神ヘルセスの承認を得て使徒となり、しばしば神に等しい力を使えるようになった。上品な言葉遣いと物腰に、夕日に例えられる茜色の瞳と、ゆるい癖のある金髪が美しい女傑。
正式名称を訳すると『バルドスタの貞淑なる女にしてレダの月の如く在る、イェルナに連なるアーシェラ』という意味になる。
『狼の魔女』ファリス・ルシル
眠り女の一人。魔女協会という最大にして古い魔女のギルドの現会長で、ウロンダリアの八つの古王国のうち『黒き国』オーンと深いかかわりを持つ女性。ゆったりしたビロードの黒いドレスに黒いレースのとんがり帽子、狼の頭骨を模した杖を持つ。
独特な黒い狼の魔術を用い、常識人でしなやかな体形をした魅力ある女性だが、なぜかずっと独身で、自分の身持ちの固さを自虐的に語る事がある。
ギゼ・ゼガ
眠り女の一人。魔獣の扱いに長けた闇の古き民、ゼガ氏族の族長の娘。赤眼白髪、スレンダーで背が高いが筋金のような筋肉を持ち、高い運動能力を持つ。『幻獣剣』と『黒龍カラダムニルの曲剣』の使い手。真面目な武人気質だが、動物全般にはとても優しい。
クームシェリー
眠り女の一人。妖精と人の間、フォリーの女性。小柄で勝気だが精霊たちの姿が見えており、しばしば重要なヒントを伝える。場の力によって髪の色が変質する特徴があり、見えざる状況把握がしやすい。彼女の問題はドラゴン退治との事だが?
シルニィ
眠り女の一人。途切れがちな話し方でいつもフードを深くかぶっている、白い猫の特徴がある女の子。大変な結界術の使い手であり、女神の寝所を守るとされる聖なる猫の人らしい。もともとは『白い女』セルフィナを長く守護していたらしいが、詳しい事は不明。
西の櫓内の壁や何もない空間にドアを出現させて出入りしたり、三章ではバゼルを拘束した際に監禁部屋と他の各部屋を直接結ぶという離れ業を行っている。セルフィナもどこか異なる空間にでも配置したような部屋に安置しているが、その正体は不明。
ルシア
序章でルインが救出した古代の覇王ウロンダリウスの妾腹の娘。古代プロマキス人らしい黒い髪と黄色い瞳をしている。馬小屋で寝泊まりするほどの苦労を経ており、若いのにどこか達観している。覇王の血を引いているせいなのかしばしばよく分からない落ち着きっぷりを見せる事も。苦難の時代の大変な苦労を背負ったまま現在の世界に蘇生し、名だたる人物の中で育っている彼女は、もしかしたら数奇な運命の持ち主かもしれない。
銀の戦狼ミュール
序章からいつの間にか仲間に加わった、覇王ウロンダリウスの戦友だった戦神系統の銀狼の神獣。大きさの自在に変わる銀製の大剣と、二章でアーシェラに買ってもらったらしい銀製の明星槌を用いたり、剣をくわえた大狼の姿で戦う事もある。
陽気で細かい事を気にせず、しかもお酒大好きな気風の良い女性だが、実は孤独が苦手で西の櫓に普通に居ついている。
ゴシュと組むと途端にコミカルな空気に。
貪婪なる金の蛇の腕輪・フリネ
序章でルインが覇王の宝物庫から持ち帰った、禁忌の工芸品にして女性という特異な存在。長い黒髪に、蛇のような縦に割れた黄金の瞳を持つ。その肌の色は基本的に褐色だが、自在に変えられるらしい。運の流れを自在に操り、人々を魅了して考え方まで変えてしまうほどの大変な美声を持つ。器物である腕輪の姿も取れるが大抵は女性の姿。現在に至るまでにとても複雑な経過を歩んでおり、この姿も本来の姿ではない。かつては蛇身の技芸神だったという。
ルインの事は知っていたようで『御屋形様』と呼んでいる(もしかすると城主になる事を見越していた可能性がある)。一見、非の打ち所の無い美女に見えるが……。
貪婪なる銀の蛇の腕輪・レティス
フリネの妹。こちらは髪が少し短くて銀瞳をしている。整った顔立ちにすらりとしながら実に豊かめなスタイル……なのだが、色々とめんどくさい性格をしている。しかもかなり自分勝手で皮肉屋で愚痴っぽい。しかし、その大変な美声は清水に脳を洗われるように心地よい物であり、愚痴さえ延々と聞いていたくなるほどの物。ただしルインはそのような効果を通り越して聞き取れるためしばしば衝突している。またルインの過去を一部知っているようで、少しだけ警戒しているような様子が見られる。彼が所持する二つの武器、魔剣ヴァルドラと神剣アストラのあった世界、ラーナ・ハーリの出身。
セルフィナ
序章で覇王の墓所での封印が解かれ、シルニィの管理と保護のもと、『西の櫓』でずっと眠り続けている。生命の力に満ち溢れており、どうやら伝説の『白い女』の一人らしい。
過去にダークスレイヤーと旅をしていたらしいシーンがある。
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