魔の国キルシェイドの人々
上魔王シェーングロード(正式名称:シェーングロード=シャルミア=ウルムドレイ=ソドム)
魔の国キルシェイドの広大な版図を統べる上位魔族ニルティスたちの王。学者肌で美意識が強い。混沌戦争の折に人間社会と同盟を結び、当時の神聖乙女だったセレニアを妻とするが、先立ったセレニアが良い女過ぎたのと娘のオリガ姫の思春期で側室制まで廃して、個性豊かで名だたる上位魔族の姫たちを眠り人に押し付けることに……。魔の国の女性たちにはひそかに『骨抜き魔王』などと揶揄されているが、実際にはかなり尊敬や信頼を受けている。
代々の上魔王たちの名前に付く『~グロード』は尊称であり、『上魔王』の意味を持つ。意訳するならばシェーングロードは『蒼き焦熱の上魔王』という意味になる。
『魔王の一族は学者肌』と言われる通り、三万以上もの言語が読めると判明する。
ギュルス
序章の酒場でのルインとの乱闘を経て知己となった、大柄な緑肌の種族バル・ヴァスモー(強きヴァスモー)族の突撃大隊の百人隊長を務める男。ヴァスモーの顔には三系統あり、ギュルスは猪顔(蔑称では豚顔)のヴァスモー。大柄で豪快な武人気質の男だが、龍言語も扱うなど上位種らしい活躍を見せる。重い鉄の丸盾と大斧を使いこなす上、戦局をある程度把握する能力も持っている。
大婆様
魔の国の女性側の政府『影なる府』の代表であり、魔王の相談役。角のあるかなり高齢の女性のようだが、フードと長衣でその顔は見えない。男系の上位魔族の血がほとんどなくなった事を危惧している。
ラグ
序章からしばしば登場している闇の古き民。『ラグの暗い森の木陰』という飲食店の店主。眼帯をしていて気風が良い。料理の腕はかなりのもの。以前は南方新王国はカプアの街にいたらしく、番外編『鉛の剣士バラク』でも登場し、過去に何かあった事を感じさせる。
闇の古き民たちは閉鎖的で攻撃的な神々を崇めている事が多いが、ラグは『適切な距離と融和』『理想郷の探求』を掲げる放浪の神イズニースを信仰している。
ケイラ、ネーレ、ミッシュ
ラグの店で手伝いをしている魅力的な上位魔族のうち、メティアと呼ばれる魅力的な女性の魔族、ザヴァ氏族の女性たち。毎日様々な服を着ては店を繁盛させている。ケイラは赤眼金髪で快活、ネーレは赤眼に暗い赤髪の落ち着いた女性で枯れ専、ミッシュは赤眼黒髪でちょっと腹黒い。
シトラ・ウルバヌ
少し前まで魔の国の八方位の守護を象徴する八大魔将の一人だったが、一章で上魔王シェーングロードへの思いが通じないために失恋して暇を貰い、今はラグの店の酔客。ギゼ及びその母とは因縁がある。青黒い肌に金色の瞳を持ち、巨大な獣の姿を取ることもできるらしい。
ティアーリア・ニュン
眠り女の一人だが、現在はまだ西の櫓に常駐ではない。大型の鳥の魔物リーニクスの古い姫で、長い孤独の『寡婦』の宿命を持つ。小夜啼鳥のような大変な美声をした魔の国一の淑女。ウロンダリアの八つの古王国の一つ、神聖エンデ―ル帝国と関りが深く、この国のかつての偉人である詩人セデラック=ルガシドや礼法の大家ミランセーヌ=アルグバンドとは友好関係にあった。
ウロンダリアの多くの国々の礼法に詳しく、長い年月で途絶えてしまった式典の再現などで様々な国に呼ばれている。また、過去に『女の足を美しく見せる踵の高い靴』いわゆるハイヒールを発明してウロンダリアにもたらした人でもある。作中では登場頻度が比較的高いが、これは『寡婦』の宿命を持つ彼女の心の安定が失われるのがウロンダリア全体でも大きな損失になりかねないため、安定した強い心を持つルインの近くにいる事を事実上黙認されているという裏事情がある。
眷族にノイナ、ラクチェ、ミクリスなどの可愛らしい子たちがいる。
バルセ・メナ
しばしば上位のサキュバスなどとも誤解されて呼ばれる魅力的な上位魔族メティアのメナ氏族の姫。魔の都でラヴナに次ぐ魅力の持ち主とされているが、何らかの賭けで負けて千年ほどラヴナの使い魔をすることになっている。二章ではバルドスタ戦教国の夜会に加わり、三章ではラヴナと共に船の女神ミゼステと戦った。
主に冷気の魔術を好み、氷の女王サーリャに憧れを持っている。
吸血鬼の姫アルカディア(略称:アルカディア=ルーミナス=オード=ブラッド)
赤眼金髪、やや小柄な吸血鬼の姫で、大財閥オード・ブラッドの当主でもある。強大な魔族であるダイオーンの一人。魔王を是としない『追われし魔族』フォールンの派閥の首魁でもあり、魔王の座を狙っていると公言してはばからない。非常に口が達者で計算高く、チェルシーとは犬猿の仲。
女性が好きで、ケレサという猫の獣人の愛人などがいる。
ネルセラ
アルカディアの秘書長で、もともとは『古き魔族』の出身だが紆余曲折あって秘書長をしている。世間ではアルカディアの恋人または愛人の一人と言われているようだが、『吐き気がするほど嫌い』とこれを一蹴している。
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