プロローグ1 最後の眠り人

 「全てが漂着する地」……人はそこを古代の大王にちなんでウロンダリアと呼ぶ。

 時間さえ曖昧で、人や神や魔はもちろん、世界まで漂着するこの地には、『眠り人』と呼ばれる存在が流れ着くことがあった。永い眠りののちに目覚めた彼らは素晴らしい技術や知識、時に壮絶な戦いの技を持ち、この世界を豊かにしたり、大いなる災いを退けてきた。

 予言にある『眠り人』の来訪は二十人。そのすべてが訪れ、八百年ほど前の『混沌戦争(カオスバトル)』の時代の終わりとともに、世界は永遠に平和が続くと思われていた。しかし今、新たな予言とともに、訪れないはずの二十一番目の『眠り人』が見いだされ、再び世界は大きく揺らぎ始める。

──花の様なる(ねむ)()を、護るは最後の眠り人。それは名を消されし闇の討伐者(ダークスレイヤー)

 後世に伝わる恐るべき歌の物語が、今、幕を開ける。

プロローグ2・少年はその本を読む『ダークスレイヤーの帰還』へ