無限世界の物語においてしばしば言及される『白い女』または『白き飛沫の姉妹』とは何者か?
無限世界の神々及び秩序の中心である『界央の地』には、世界を創造してのちに姿を消した『隠れし神々』の意思を唯一伝えられるとされる使徒にして王『聖魔の王イスラウス』が至高の神座にあると伝わっている。
時に『告者(※隠れし神々の意思を唯一伝えられる者)』とも呼ばれるこの聖魔の王の周りには、概念を司るために名を捨てて至高の存在となった何柱かの神々がいるとされており、第四章までの時点で名前が出ているこの概念の神々は『技巧』『試練』『無知』『慈悲』『道化』など。
この五柱の存在のうち『技巧』は永劫回帰獄に降って鍛冶神ギリムを名乗って永遠に強い武器を創り続ける運命を選択したらしく、『試練』はダークスレイヤーに殺されて力を奪われ、『無知』はどうやら永遠の地ウロンダリアで最近まで眠っていたらしい描写が為されている。
『慈悲』はずいぶん昔に行方不明になったとされており、界央の地の弱者を省みない方針は彼女が居なくなってから苛烈になったとしばしば言及されてる。言い伝えによれば彼女は何かを大いに嘆いて姿を消したとも伝わっているが、そんな彼女の涙が生命の原質をたたえた『白い海(※乳海とも言う)』に落ちた事があり、その飛沫から生まれたのが『白き飛沫の姉妹』または『白い女』たちだとされている。
彼女たちは『白い海』の生命の力をほぼ無尽蔵に持ちつつ『慈悲』の様々な性質を受け継いだ存在で、姉妹でありながらその個性は大きく異なっており、同じものから生まれてはいても考え方は大きく異なる点があるとされている。共通点としてその髪と肌は『白い海』由来でとても白く、何らかの絶大な生命の力を有していること。また、その力から『主物質界の理に反した存在である』とも言われ禁忌の存在とされていたらしい。しかし、そんな彼女たちは物語中で荒廃した多くの世界をその生命の力で復活させる役割を担っている。
無限世界の禁忌であり秘中の秘である彼女たちの存在はしかし、『月と陰謀の女神イシュクラダ』がダークスレイヤーに彼女たちが囚われている事を伝え、現在は全員が自由になり、『界央の地』は彼女たちの行方を追う事が出来なくなったとされている。
また存在として彼女たちは女神たちよりも位が高く清浄な存在らしく、第三章の後日譚の姉妹同士の会話では主物質界の存在が持つ『九穴の呪い』という物もなく(つまり下半身に生命活動に関する穴がない)、排泄や出産とも無縁の存在であることが示唆されている。
その位の高さゆえに『名を消されし者』ダークスレイヤーの戦いと人生には何らかの諧謔(※おかしみの事)が見いだせるようで、しばしばとても楽しそうにしている様子が窺い知れ、壮大な悲劇の蔓延している無限世界でのささやかな希望にも見える事がある。果たして、彼女たちの行く末と世界はどのような経過と結末を辿るだろうか?
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