『ダークスレイヤーの帰還』

『ダークスレイヤーの帰還』

白い女と嵐の古竜

白い女と嵐の古竜 猛烈な嵐が黒灰色の奔流と化した空の中、地上から見ればその視界の限りの空を埋め尽くすほどの巨竜にして古き竜、嵐の古竜ダカルダースは、この空全てをも感知する力で、背後から迫りくる炎の勢子せこと狩人から逃げていた。──しつこい。...
『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・後編

ディレニスの雪・後編 不確かな闇の中。 サーリャはダークスレイヤーの首に手をまわして力を抜いた。この後の事は全て受け入れ、この男の苦しみを分かち合うつもりでいた。「目を見せて。たとえ怒りや欲に満ちていても、私は厭いとわないわ……」 かつてこ...
『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・中編

ディレニスの雪・中編 凍てつくディレニスの最高峰、聖山バナンシの凍った地底湖の聖域。 焼け焦げたダークスレイヤーの腕を抱いたサーリャは爆発的な黒炎こくえんに包まれた。熱いという表現では追い付かない、押しつぶされるような激痛。しかし、この激痛...
『ダークスレイヤーの帰還』

ディレニスの雪・前編

ディレニスの雪・前編 無限世界イスターナルの辺境、雪深いディレニスと呼ばれる冷たい世界。その滅んだ神々の王宮、グラネクサル。 氷の女王サーリャは紺と白のドレスのような戦装束に身を包み、左手に剣を握ったまま、眼下に並ぶ氷の巨人の大軍勢を見下ろ...
『ダークスレイヤーの帰還』

蒼い城と、導きの灯火

蒼い城と、導きの灯火 無数に枝分かれした無限世界イスターナルの中でも、特に基軸きじくとなる、光、中間、闇の三千世界の中で、六つの世界に連なる位置に存在する、『ア・シェの六連世界』と呼ばれる地があった。光溢れる二つの世界、中間の二つの世界、そ...
『ダークスレイヤーの帰還』

最果ての星の海、エメレセとマリーシア

最果ての星の海、エメレセとマリーシア 燦然さんぜんと輝く星空の下、暗黒の水面みなもに浮かび上がるように、淡い銀の光を放つ女が目を閉じて慎重に歩いていた。流れるような刺繍も見事な、ぴったりした真珠銀しんじゅぎんのビスチェとかなり短めのスカート...
『ダークスレイヤーの帰還』

ミクタラの一日・後編

ミクタラの一日・後編 世界樹せかいじゅの洞うろの部屋は完全に日が落ち、部屋の各所に置かれた鈴のような花が青白い燐光りんこうを放ち始めている。幽かすかな草花の芳香を放つベッドに横になったフェルネーリは、頬杖をついて脇机のそれを興味深げに眺めて...
『ダークスレイヤーの帰還』

第五幕 月のイシュクラダル、ミゼステとオーランド

第五幕 月のイシュクラダル、ミゼステとオーランド ウロンダリアの遥か上空、二つの月の大きなほう『レダの月』の神都しんとの一つ、イシュクラダル。 外とつ世界と呼ばれるウロンダリアの外、無限世界イスターナルの各所から集まって来た月の民たちの技術...
『ダークスレイヤーの帰還』

第四幕 月を喚ぶ

第四幕 月を喚よぶ 『豊穣ほうじょうなる雨の地』を意味する世界ウル・インテス。 その世界の遥か上空、暗い星の海には、普段はウロンダリアの夜空にしばしば現れ『モノリス』と呼び親しまれている直方体の超大型構造物、『不滅ふめつの堅座けんざ』ヴァジ...
『ダークスレイヤーの帰還』

第三幕 月を呼ぶ前に

第三幕 月を呼ぶ前に かつて、『豊穣ほうじょうなる雨の地』と呼ばれていた世界、ウル・インテス。 マスティマ・ウンヴリエルとダークスレイヤーの激しい戦いは既に遠い昔となったこの世界の空。その冷たい霧風の中を、一角の白い馬に横座りした女が優雅に...