第二章間話

『ダークスレイヤーの帰還』

バルコダの首なし騎士と、ある勇壮な無名の女について・後編

バルコダの首なし騎士と、ある勇壮な無名の女について・後編  昼過ぎに集落に戻った旅巫女たびみこは、人々が旅巫女の帰還や無事に驚いている事にはあまり取り合わず、吸血鬼の領主の通り道に並木道がないか、また弓を貸してくれる者がいないかと尋たずねた...
NOVEL

吸血鬼の都アンシルヴァル・後編

吸血鬼の都アンシルヴァル・後編  『銀の指のダリヤ』の戦技せんぎはホールの天井に隠されていたと思われる、無数の球体関節きゅうたいかんせつの人形たちを呼びだした。道化のようなもの、すらりとした少女のようなもの、騎士のようなもの、太った巨人のよ...
『ダークスレイヤーの帰還』

吸血鬼の都アンシルヴァル・前編

吸血鬼の都アンシルヴァル・前編 ──これは、眠り人ルインが目覚める少し前の話。  ウロンダリアは黒曜石こくようせきの都オブスグンド。その大城壁の西の櫓やぐら、眠り人の寝所。 「チェルシーさん、眠り人様は今日もお目覚めには?」  暗い茜色あか...
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氷の碧、炎の黒

氷の碧、炎の黒 ※『雪の白、血の紅』のエピソードの続きとなります。 ──私もまた、色の無い花でいい。  無限世界イスターナルの外周を囲む冷たい終焉しゅうえんの領域、氷獄クエリス。  再び長い年月が流れていた。かつてサリヤと呼ばれ、その後氷の...
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雪の白、血の紅

雪の白、血の紅 ──世界は愛に溢れているけれど、人の心には愛がない。私の心にも。──冷たいディレニスの碑文より。  無限世界イスターナルの辺境、冷たいディレニスという世界。  黄金の鎧よろいを着こんだ主神にして王、戦神せんしんコルベックは、...
『ダークスレイヤーの帰還』

落花流水、泥沼蓮華

落花流水らっかりゅうすい、泥沼蓮華でいしょうれんか  魔の国キルシェイドの黒曜石の都オブスグンド、ある夜の西の櫓やぐら。  金庫室で帳簿ちょうぼの管理をしていたチェルシー、アゼリア、シェアの三人は、今月の寄贈金きぞうきんの収益、支出のまとめ...
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語る言葉は詩のように

【はじめに】  ウロンダリアの伝説の武人にしてシスラ共和国建国の父、武王ガイゼリックと『美しい人』セシレの出会いの物語のひとつです。  『武王ガイゼリックと美しい人セシレ』、『剣王ドランと賢妻ユリア』、ウロンダリアでしばしば語り継がれている...