『ダークスレイヤーの帰還』 第二十二話 下層地獄界・炎の領域
第二十二話 下層地獄界かそうじごくかい・炎の領域 ルインは落ちていく。下層地獄界かそうじごくかいへと穿たれた穴の中を。 しかしルインは何ら気負ってはいなかった。遥か下方に見えていた砂粒のような赤い点は徐々に迫り、それが赤く霞たなびく火の粉...
第二章
『ダークスレイヤーの帰還』 
『ダークスレイヤーの帰還』 第二十一話 涙と痛み
第二十一話 涙と痛み かいがせいどう 絵画聖堂を後にし、ダスラの王宮に戻った一行に届いた報せは、オルリスの街に隠れ住む第二、第三王家の血統の者全てが高熱で倒れたという知らせと、モルオン・サダの隠れ里のセダフォル荘で発生した緊急事態の知らせだ...
『ダークスレイヤーの帰還』 第二十話 邪悪な真相
第二十話 邪悪な真相 不気味な霧に閉ざされて視界の悪い空間の中、それぞれが現れた髑髏どくろの甲冑かっちゅうの騎士に向かう。この霧の空間は特殊で、おそらく髑髏姿の騎士たちが何らかの術式で展開しているらしく、ある程度髑髏の騎士に近づいた者はそ...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十九話 悪意の仕掛け
第十九話 悪意の仕掛け 絵画聖堂かいがせいどうの内部。全ての絵画のそばに束ねられた灌木かんぼくがうずたかく積まれ、たっぷりと油がかけられた。 「空気の確保をお願いいたします！」 「任せて！」 アーシェラに応じて、クームが腰の水晶球を二つ...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十八話 絵画聖堂
第十八話 絵画聖堂かいがせいどう 朝、バルドスタのダスラの王宮の控えの間に武装した眠ねむり女めたちが集まっていた。王宮の転移門にアーシェラが『西の櫓(やぐら)』との直通路を開通させたために、夜会の時とは異なり、現在は容易に訪れることが可能...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十七話 薄明
第十七話 薄明 ルインがバルドスタのアーシェラ王女に呼ばれていずこかへと出かけた夜、魔の都の眠り人の本拠地『西の櫓やぐら』の眠り女たちは、自然発生した深夜の飲み会で親睦を深めていたが、何人かの眠り女は少し落ち着きを欠き始めていた。 特に...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十六話 セダフォル荘にて
第十六話 セダフォル荘にて モルオン・サダの上空の浮島、バルドスタ戦教国せんきょうこく王族の隠れ家、セダフォル荘。 飾りガラス越しの温かな光さす窓際で、マイシェラ王妃は柔和な笑みを浮かべた。 「あなたが眠り人ルイン様なのね。不思議なもの...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十五話 変事の後始末
第十五話 変事の後始末 バルドスタ戦教国、ダスラの王宮の大広間。 奇妙にも実権を奪われていたはずの王女との握手に感激しつつ去っていく貴族たち。中には「追って沙汰さたを下す」とまで言われても歓喜の笑みを浮かべつつ立ち去る者もいた。やがて大...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十四話 剣神合一の果て
第十四話 剣神合一けんしんごういつの果て ベネリスことアーシェラ王女とクロウディアの前に立つ戦女神いくさめがみヘルセスは、何かを懐かしむ目をしていた。 「あの方を知る女性存在の多くは『砂糖菓子のように甘い』と言葉を残しています。非常に優し...
『ダークスレイヤーの帰還』 第十三話 戦女神ヘルセス
第十三話 戦女神いくさめがみヘルセス 暗黒の空から落ちる冷たい雨が、涙のようにアーシェラの目じりに落ちた。それで、うっすらと目を開ける。 「死ね……ない……！ あと……少し……！」 どうにか向きを変え、『ハルダーの座ざ』からそう遠くない...